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びおら弾きの微妙にズレた日々

シシリエンヌ・風の調べ

ガブリエル・フォーレ(1845~1924)の手になるこの有名曲、もともとは1893年に「チェロとピアノのためのシシリエンヌ」として作曲され、のちに「ペリアスとメリザンド」という劇のための音楽として流用されました。その後演奏会用の組曲としてこれをまとめた時に、追加として「シシリエンヌ」が加えられました。美しくなじみやすい旋律のためでしょうか、この曲はさまざまな楽器用に編曲されています。

 「ペリアスとメリザンド」という戯曲は「青い鳥」で有名なメーテルリンクの作で、フォーレの他にもドビュッシーやシェーンベルクがこれを素材に曲を作っています。戯曲の内容は、森の泉のほとりで発見された謎の少女メリザンドをめぐって王家の世継ぎたちが繰り広げる、抒情的な不倫劇です。(メリザンド、じつはすでに人妻)

 もともとチェロのために作られたこのシシリエンヌは、実際に聞いてみると、不思議と笛の音がよく合います。組曲の一曲目「前奏曲」が深い神秘の森をイメージさせるならば、シシリエンヌは森をわたる風です。

 8分の6拍子という流れるようなリズムが、決してひとところに留まらない風にぴったりですし、ハープによる伴奏は水の流れ、あるいは木々のざわめきとも受けとれます。そしてフルートが奏でる、シンプルなのに優雅で美しいメロディ! 透明な風が森の中をあちらこちら吹きぬけては静まり、また吹きぬけては静まりつつ、あるところではくるくると渦を作って木の葉を舞わせ……。こんな風景が目の前に展開するような錯覚さえおこします。

 私、ビオラ弾きですから、あいにくビオラでしかこのメロディを弾けません。ビオラの特性上、フルートやバイオリンのような天に突き抜ける音色は間違っても出てきません。その代わり、といっては何ですが内にこもる独特の渋い音色が得意です。この音色でシシリエンヌを弾くとどうなるか……。いいところ、枯れ葉のダンスかも(沈)。

 しかし、悪戯好きな運命の女神が、発表会でシシリエンヌを弾くチャンスをくれました。せっかく弾くならビオラの特性を生かしてやろうと意気込んでおりますが、なんと、私のビオラ、C線の鳴りがよろしくないのです。なんてこった。これまでソロを意識せず、「鳴ればいいや」で弾いていたツケでしょう。 たとえ、枯れ葉のダンスができたとしても、落ちた枯れ葉を迎え入れる大地の深いひびきが出せなかったら悲しいですよ。精進あるのみ、でしょうかね。(おお、だんだん意味不明の文章になってきた)
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