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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   
カテゴリー「音楽の話」の記事一覧

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ロッラのビオラ協奏曲

昔、音楽エッセイで「びおらにはバロックと近代の間の協奏曲がほとんどない」と書いた。実際に少ないことに違いないのだが、先日(といっても半年ぐらい前)、その空白の時代のビオラ協奏曲を見つけた。→

アレッサンドロ・ロッラという、18世紀から19世紀にかけてイタリアで活躍したビオラ(兼バイオリン)奏者がいる。彼はパルマの宮廷オーケストラで、ビオラパートのリーダーとしてだけでなく、オケ全体のリーダーとして力量を発揮したという。普通、コンマスといえばファーストバイオリンの首席奏者だ。それが、ビオラの首席奏者がコンマスの座を奪うなんて!
ロッラは、当時のすぐれた奏者がそうであったように、作曲家としても活動し、のちのちはミラノ音楽院で教授職につき、すぐれたバイオリン・ビオラ奏者を出した。
そして、それまで本当に縁の下の力持ちでしかなかったビオラをソロ楽器として扱い、ビオラのための協奏曲やデヴィルメントを書き残したのだ。なんとありがたいことか。

聞いて見ると、雰囲気はバロックに近く、際立って個性的な曲ではないが、バイオリンにもひけをとらずオーケストラの中で華を持たせてもらっていて、それがとても心地よい。

演奏は老舗のイ・ムジチ合奏団。ビオラソロはマッシモ・パリス 1993年の録音。
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映画観てきました

映画なのにどうしてカテゴリが音楽かって?
そういう映画をみてきたんです。今池のシネマテークまで行ってきました。知るひとぞ知る、というアングラな映画館です。その昔、タルコフスキーの「サクリファイス」をここで観ました。
タイトルは「タッチ・ザ・サウンド」。つまり「音に触れる」ということ。
聴覚障害者であるパーカッション奏者・エヴリン・グレニーのドキュメンタリーです。
公式サイト→

シベリウスの酔狂

昨日予告した通り、シベリウスの交響曲2番について感じたことを少々書いてみます。

昨日の練習で、トレーナー氏は、1楽章のある箇所(具体的には練習番号のK)を指して「ここからシベリウスのクレイジーが露骨に出てきます」と言った。

2番のシンフォニーの1楽章は、基本的に3拍子vs4拍子でできている。基本の拍子は6/4。1小節に四分音符が6個入る勘定だ。指揮は二つぶり、四分音符を前三つ後ろ三つに分け、大きく2拍子としてとらえる。
で、シベリウスは大きな2拍子の1拍の中に音符を3つ入れるときもあれば(つまり普通に音符3個)、無理やり4つ突っ込むこともある。(4連符) すると、前者は3拍子系、後者は4拍子系のメロディということになる。
そして1楽章では、この2種類のメロディが互いに同時進行することがよくある。するとメロディ同士はケンカして当然。なにしろ、基本となるリズムが違うのだから。
この時、シベリウスの狙いは、音の調和にはなく、ケンカが引き起こす緊張感にある。言いかえれば、質の違う2種類のモチーフを提示して、そのぶつかり合いや葛藤を表現しているのだ。

ここまでは、「さすが近代音楽の天才は素晴らしい!」と感激しきりなのだが、さらに3つ目の要素がケンカを売りに来ると、理解不能の領域。それが「K」。

そこでは、各楽器の間で、3拍子vs4拍子の激しいバトルが繰り広げられ、2種類のメロディがいろんな楽器の間を渡り歩いている。
そこでいきなりホルンがシンコペーションを始めるのだ。ホルンのリズムは、一応3拍子系だが、それは6つの四分音符を3つごとにわける3拍子ではなく、6つの四分音符を2つごとに3つの固まりにわける3拍子。
つまり、3拍×2のリズムで進んでいる音楽の中に、2拍×3のリズムで音楽が割り込んでくるわけだ。すでに3拍×2の音楽の中で3拍子vs4拍子の嵐が吹き荒れているというのに。

指揮者も奏者もわけわかりません。

シベリウスの頭の中で何が起きていたかも……。

トレーナー氏によれば、シベリウスのクレイジーさは、他の楽章でもちらちらと顔を出すらしい。

でも私は一奏者として、シベリウスに出会えて嬉しい。狂気の果てまで付いて(憑いて?)いきたいぐらいだ。途中で振り落とされるのがオチだけど。

室内楽の面白さ

週が明けて落ち着いたところで、あらためて室内楽の感想など。

今回弾いたのはモーツァルトのクラリネット五重奏から、1楽章のみ。
後期の曲のせいか、饒舌さは影をひそめて、無駄のない透明な響きが魅力。
そして、フレーズの切れ目が小節のど真ん中という恐ろしさ。聞いているとごく自然に切り替わっているのに、楽譜を見てあらびっくり、「こんなところで切れてるのね」
例えば4拍子のリズムの中で、2拍目までがフォルテで、3拍目からはいきなりピアノになっていたりする。これは3拍目から新しいフレーズが始まっているから。
さすがに天才は曲の作り方も自由闊達。

ほとんど初めて挑戦した五重奏は細かいことを抜きにすれば、結構楽しい体験ではなかったかと思う。
隣のバイオリンやチェロとぴったり息が合ってリズムを刻めたり、逆に裏打ちで入れた合いの手がきれいに決まったり、フレーズの終わりで、全員そろってカッコよく決めることができたり。
中間部の見せ場部分、細かいアルペジオを1stバイオリンからチェロまで次々とつないでゆくところは、非常にスリリングだった。これは水が流れてゆくようになめらかに華やかに弾けるのが理想で、どの程度上手くいったのかは客席にいた人しかわからないが、そういう場面を弾けるのが楽しかった。
残念なのは、メンバー全員がそろって演奏できたのが、本番当日のみだったということ。もう少し何度も合わせれば、互いにもう少し聞きあう余裕が出て来るし、楽しみながら弾けるんだけど。

どうやら、来年は本気でブラームスのクラ5を演るらしい。昨日の合奏の合間に、1stバイオリンを担当していたAちゃんが来て「これ、原譜のまま渡していい? それともコピーとろうか?」と楽譜を差し出した。
うーん、1年がかりで仕上げるのか。気の長い話だけど、そのぐらいしないと無理だろう。なにしろ、あのブラームスだから。

東京カルテットのクラリネット五重奏

いよいよ明日が室内楽の本番。
一回しか合わせてないけど(しかもクラリネット抜きで)大丈夫なんだろうか。

自分も、最後のあがきで弾いて見たけど、うーん。一朝一夕には上手くならないね。他のメンバーの足を引っ張らない程度には弾けるはずだけど。

そして、お手本となる演奏を聴く。
先日地元の図書館で、意外にもこの曲を見つけたのだ。あわてて買うんじゃなかった。
それがこれ→

クラリネットは、リチャード・ストルツマン。弦楽器は、協奏曲の方がイギリス室内管弦楽団で、五重奏の方が東京カルテット。
これがなかなかいい感じ、というか私好みの音で気に入った。先日買ったウィーン八重奏団が懐かしい響きを持つとすれば、東京カルテットは現代的な音。
なんていうのかな、前者は各楽器の音がほどよく溶け合っている良さがあって、後者はお互いに緊張感をもって対立しながら響きあっていると言ったらいいのかな。
聴けばすぐにわかるんだけど、言葉で表すと難しい。

今月のつぶやき

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