「ラブ・レター」
今回は、すごく質のいいストーリーを楽しませてもらった。
最初のきっかけは、ミナモの読書感想文。彼女は電脳化していないので、紙媒体の本を読まなくてはならず、閑古鳥の鳴く中央図書館まで足しげく通うことになる。(ここの、いかにもやる気のない司書が時代を象徴していてナイスv)
読んだ本の一部が切り抜きされていたり、最後のページが破り取られていたりと、紙ならではのトラブルに遭遇するが、ミナモはそれをむしろ楽しんでいるふしがある。切り抜きはにはもちろん怒るが、それでなくて、紙の手ざわりとかインクのにおいとか、ページの間にはさまったお菓子(?)の食べかすとか、ちょっとしたシミとか、そんなものにこれまでの読み手の存在を感じ取り、温もりを感じている。
ミナモはアナログ的な感覚がものすごく優れている少女だというのが、ここでも強調されてる。彼女の存在自体が電脳化社会へのアンチテーゼなんだろう。