先週出かけたミレー展、おみやげコーナーには北フランスに関係のある食べ物も置いてあり、高いとわかっていながらつい手を出してしまった。それはジャムでもクッキーでもなく、大麦を炒った「代用コーヒー」。
麦コーヒーは、代用コーヒーとして永年ヨーロッパの国々で広く飲まれてきました。風味を増すために原材料にコーヒーをブレンドしてあります。古き日の素朴な風味をお楽しみ下さい。(コーヒーのパック裏面より)
とのことで、風味付けにモノホンのコーヒーを混ぜているくらいなので、決して「美味しい!」と感激するような味ではなかろうと思いつつ、好奇心が勝って購入。
ミレーが生きた19世紀中頃のヨーロッパを考えてみよう。本物のコーヒー豆は、はるか南方の国々から船で運ばれてきた貴重品であり、手軽に家庭で飲めるような代物ではなかったはず。wikiには次のような記述がある。
代用コーヒーについての最古の記録はフリードリヒ2世統治下のプロイセンで見られ、コーヒー豆の輸入による輸入超過と国内ビール産業の保護を目的とした1777年のビール・コーヒー条例によってコーヒーに高い関税が掛けられることになった結果、その代用として庶民が代用品を飲む様になったと記されている。また、南北戦争中の米国や、第一次・第二次世界大戦の時にコーヒー豆の輸入が滞った地域(日本など)や、冷戦時の東欧諸国でも代用コーヒーが飲まれた。
代用コーヒーの材料としては、タンポポやチコリなどの根、ブドウやカボチャなどの種、種大豆、トウモロコシ、大麦などの穀物があり、地域によって利用しやすいものを炒って使ったのだろう。ミレーの生まれ育った北フランスでは大麦を使った代用コーヒーが飲用されていたということで。
麦コーヒー カフェ・オ・レ風
微妙な期待を持ちつつ、パックを開けてみると、いい匂いがする。大麦はもともと炒ると独特の香ばしい香りを放つから、まあ当然だろう。問題はお湯を注いでどうなるか。
色はまずまず。きれいなブラック(表面に浮く粉が気になるけど)。香りは残念ながら弱くなる。味は……。
味は人それぞれ好みがあるので、いいとか悪いとかはっきり言えないが、ブラックで飲む場合はコーヒー色の白湯だと思っていただくのが無難かなぁ。ミルクや砂糖を加えるとヘルシーなホットドリンクになる。
現代は輸入物のコーヒー豆を家庭でガリガリ挽いて、手軽に本物を味わうことができるのだから、実に贅沢な時代だよねぇ。
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