長久手町文化の家主催「音の華」という近〜現代の室内楽を集めたコンサートに行ってきた。
お目当てはテルミンとオンド・マルトノという、初期の電子楽器が登場する曲。プログラムは次の通り。
吉松隆:白い風景〔独奏チェロ、フルート、ハープ、弦楽四重奏〕
ボフスラフ・マルティヌー:テルミン、オーボエ。弦楽四重奏とピアノのためのファンタジー※日本初演
市橋あゆみ(文化の家創造スタッフ):名もなき花へ〔フルート、チェロ、ピアノ、オンド・マルトノ〕
ニーノ・ロータ(1911-1979):フルート、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、ハープによる五重奏曲
モーリス・ラヴェル(1875-1937):序奏とアレグロ〔フルート、クラリネット、ハープ、弦楽四重奏〕
現代曲がほとんどだが、美しい和音とメロディを持つ美しい曲ばかりで、とても楽しめた。文化の家創造スタッフが企画したコンサートのためか、手作り感たっぷりで、まるで身内のコンサートを見ているようなアトホームな空気が漂う。
期待通り、テルミンとオンド・マルトノには感激した。実物を見たのはもちろん初めてだが、本物の音色を聞くのも初めて。電子音にもかかわらず、弦や木管ととても相性のいい音色だった。面白いのが、生の楽器の方が硬質で鋭角な響きを持っていたこと。電子楽器の音色はとてもやわらかくてどんなに激しい音でも綿(わた)のようなふわふわ感がある。それに、鍵盤も弦もなく、空気をつかむような演奏スタイルのテルミンがあれだけきちんと音程が取れるなんてびっくり。もちろん演奏者は空間で音程をとるためにいろいろ工夫を凝らしてたようだった。
あとはハープの響きがびっくりするほど美しかった。特に「白い風景」でハープの美しさが際だっていた。どの和音の響きも恐ろしくクリアで、もしかすると、平均律ではなく純正律で調律したのかもしれないと思った。その後、ラヴェルやロータの曲で登場したときはピアノそっくりの、わずかに濁りの混じったごく普通の響きだったので。
いっしょに連れて行った息子は、ハープの音が一番気に入ったらしい。もちろん、フルートやオーボエなど(彼にとっては)珍しい楽器も熱心に見入っていたようだが。